現在の歌舞伎界で有名な兄弟といえば、中村勘九郎さんと中村七之助さんのご兄弟ですよね。
弟の中村七之助さんは、一時期、やけに「遊び人」イメージが強かった印象があります。
「歌舞伎界の問題児」みたいな扱いだったり。笑
え?歌舞伎界で「遊び人」イメージなら、若い頃の市川團十郎(市川海老蔵)さんや中村獅童さんだろうって?
確かにそうでしたね。
しかし、この2人が結婚した後、歌舞伎界の遊び人として、週刊誌などでやたら名前が上がっていたのが中村七之助さんだったんですよ。
ただ色々と調べてみて、この中村七之助さんの遊び人説にはちょっと腑に落ちない点もあるんですよね…
今回は、そんな中村七之助さんの「歌舞伎界遊び人」説の真偽について、検証・考察したいと思います。
懲りない男?中村七之助
多少のスキャンダル等は「芸の肥やし」として、大目に見られがちな歌舞伎界。
しかし、当時中村七之助さんに対する世間の目はやや厳しいものでした。
それにはちゃんと理由があって「痛い目に遭ったのに懲りてない」という声があったんですよね。
中村七之助さん 現行犯逮捕事件
中村七之助さんが遭った「痛い目」とは2005年の現行犯逮捕事件のことです。
父・中村勘三郎(当時勘九郎)さんの18代襲名直前のお祝いパーティーの後の話。
中村七之助さんは二次会に繰り出し、泥酔してタクシーを無賃乗車したうえに駆けつけた警察官に暴行した、というもの。
謝罪会見を開き3ヶ月の謹慎処分など、当時はかなり大きな騒ぎになりました。
父親の顔に泥を塗り、逮捕されるほどの「痛い目」に遭ったのに、女性関係の話が絶えない七之助さんに、、、
「痛い目に遭えば改めるものだが、七之助は懲りずに遊び回り、女性関係も派手で困ったもんだ!」
こう渋い顔をする人も多かったとか。
「痛い目」自体も問題ですが、その後の懲りてない様子が余計にダメ、ということなんでしょうね。
歌舞伎界・遊び人の先輩が起こした事件
確かに、遊び人の先輩である市川海老蔵さんも中村獅童さんも「痛い目」に遭ってましたっけ。
市川海老蔵さんは2010年の西麻布での暴行事件です。
一応被害者だった海老蔵さんですが、、、
- テキーラを灰皿に入れて飲ませた
- 髪を引っ張り、頭を叩いた
このような、自業自得といえる素行や、記者会見を体調不良でキャンセルして飲みに行った先での事件だっただけに、かなり非難されました。
中村獅童さんは2006年の飲酒運転・信号無視事件です。
オマケに不倫も発覚したことで、世間からはかな〜り冷たい視線を向けられていました。
ここでちょっと面白いなぁと思ったのは、それぞれの痛い目に遭った「年齢」です。
市川海老蔵さん・中村獅童さんは32〜33歳という年齢だったのに対し、中村七之助さんは当時21歳。
実は一番若いし、事件のあった時期も2005年と一番早いんです。
そういう意味では中村七之助さんの方が「センパイ」なのかも?笑
ま、イイ歳して「痛い目」に遭った海老蔵さんと獅童さんの方が恥ずかしいっちゃあ恥ずかしいですね…笑
痛い目に遭ったその後
それでも、市川海老蔵さんも中村獅童さんも、その後は(少なくとも表面上は)「控えめ」になり、落ち着いた印象になりました。
ま、普通になっただけなんでしょうが、以前が派手だと「真面目」に見えちゃうのが不思議ですねぇ…笑
一方、中村七之助さんといえば、結婚もしてないし、その後も変わらず熱愛ネタが豊富でした。
ちなみに、お相手の女性の多くは一般人です。
トリンドル玲奈さんと熱愛の噂もありましたよね。
しかも、トリンドル玲奈さんの件では…
「トリンドル玲奈は遊ばれてるだけ」
「七之助の本命彼女は別にいる」
こんな話もまことしやかに流れている始末。笑
こうやって見ると、中村七之助さんが「懲りてない」と言われるのも無理の無い話に見えますよね。
しかし、現行犯逮捕事件の裏側を調べてみると、また見方が変わってくるんです。
中村七之助 現行犯逮捕事件のおかしな点
七之助さんの現行犯逮捕事件で、一般に言われてる事件の概要は以下のとおりです。
- 二次会に嵐の松本潤らと繰り出し、ベロベロに酔っ払う
- その後、タクシーで3時間もぐるぐるまわり料金の8000円を払わずに逃走
- そして通報され、駆けつけた警察官に暴行し逮捕された
この流れを見て、明らかにおかしいところがありますよね?
タクシーで3時間もぐるぐるして8000円なワケがないっていう…笑
ド派手なお父様はお元気でしょうか? |
しかも中村七之助さん、実は下戸でお酒は飲めないそうです。
「お酒に弱い」どころじゃなく「飲めない」人の場合、自らベロベロまで飲みますかねぇ…
しかも同席してたのが、親友と言われる松本潤さんたちです。
仮にも親友の父親の襲名祝いパーティー後に、飲めないお酒をそんなに飲ませますかねぇ?
しかも家族ぐるみの友人ですよ?
そこまでベロベロならタクシーに同乗して送りませんか?
パッと見ただけでも、こんなに疑問だらけなのに、そういった疑問を解消する報道は当時ほとんどありませんでした。
逮捕後、すぐに父・中村勘三郎さんが謝罪会見をして謹慎処分にしたことで、後の報道は尻すぼみになりましたからね。
良くも悪くも後追い記事は本当に少なかったんです。
でも、ごく一部でこんな風に報じられていたのをご存知でしょうか?
中村七之助 現行犯逮捕に奇妙な点
実は、襲名祝いパーティー後、中村七之助さんを連れ出して飲めない酒を飲ませたのは、市川團十郎(当時は海老蔵)さんだったという話です。
六本木のキャバクラで酔いつぶれるまで何度もシャンパンを一気飲みさせた、と。
そして酩酊状態でタクシーに放り込まれ中村七之助さんは埼玉へ向かいます。
どうも、当時の彼女が住んでいたのが埼玉だったらしく、一度は埼玉へ向かったようですが、一転してそこから2台目のタクシーに乗り換え自宅へ向かいます。
意味不明な行動ですけど、泥酔状態の酔っぱらいのすることですから…笑
2台目のタクシー内で七之助さんは熟睡していたらしく、着いてから運転手に起こされると、料金を払わずにスタスタと歩き出したそうです。
これは想像なんですけどね…
1台目のタクシーとはトラブルになってませんから、おそらく料金を払ったんでしょう。
酩酊していたとはいえ中村七之助さんは、その「払った」覚えだけはあったのでは?
そして2台目のタクシーに乗って爆睡したことで、料金を払った感覚のまま、タクシーから料金を払わずに降りたのではないでしょうか。
つまり、料金を払った1台目とその後に乗った2台目を混同していた可能性があると思うんです。
もちろん、だからといって、2台目のタクシー代を払わなくていいとか、警察官を殴っていいいわけじゃありませんけどね。
ちなみに、2005年当時の市川團十郎(当時は海老蔵)さんといえば、「海老蔵」襲名の直後でフランス・パリでの襲名公演も成功させ、ブイブイ言わせていた頃。笑
もちろんまだ「痛い目」にも遭う前です。
もし本当に、中村七之助さんに飲めない酒を無理強いしたのが事実だとすると、中村七之助さんはある意味、被害者でもあったわけですね。
中村七之助 現行犯逮捕事件の顛末
その後、直ちに開かれた謝罪会見では、父・中村勘三郎さんはひたすら平謝りでした。
「甘やかして育てたつもりはなかったが、あんなバカとは思わなかった…」
このようにバッサリ言われてました。
そして当の本人である七之助さん自身も「自覚が足りなかった」と泣きながら頭を下げるばかりで、結局3ヶ月の謹慎処分となり、騒動はそのまま終息したのでした。
どうでしょう?
もし本当に市川團十郎(当時は海老蔵)さんに無理強いされたのだとしたら…
年上でもあり市川宗家の市川海老蔵さんに逆らえず、飲めないお酒を酩酊するまで呑む。
騒動後には一切言い訳せず、以後、真相の暴露もしない。
事件だけ見ると本当に愚かですが、事情を見ると思っていた感じとは違うと思いませんか?
兄・中村勘九郎と弟・中村七之助
さらに着目して欲しいのが兄・6代目中村勘九郎さんとの関係です。
6代目中村勘九郎さんといえば、歌舞伎界でも超生真面目なカタブツ人間として知られてます。
奥さんは前田愛さん。
2001年ドラマ「光の帝国」で共演し、そのまま前田愛さん一筋で2009年に結婚したエピソードからも、中村勘九郎さんの実直さが伺えますね。
昔は実直に見えたんだけど |
そんな真面目人間・中村勘九郎さんと中村七之助さんは、自他共に認める大の仲良し兄弟です。
もし本当に、中村七之助さんが「遊び人」で「懲りない奴」なら、真面目な中村勘九郎さんと良い関係でいられるでしょうか?
もちろん、全然違う性質だからこそうまくいく場合もありますよ?
でも身内で、しかも同じ業界。
普通に考えたら、勘九郎さんは七之助さんに対して、、、
「問題ばかり起こす足手まといだ」
「ちゃんと反省して芸を磨け!」
「家名を汚す不届き者め」
これぐらいの感情は持つんじゃないでしょうか。
そして反対に、七之助さんは勘九郎さんに対して、、、
「カタブツで面白味のない人間」
「先に産まれただけで偉そうに」
「真面目ぶりやがって鬱陶しい!」
これぐらい思っても不思議は無いですよね。
兄弟で同じ業界にいると、不仲って結構ある話じゃないですか。
実際、歌舞伎界でも兄弟で不仲が噂される人たちもいますしね。
でも、七之助さんと勘九郎さんは、この現行犯逮捕事件の前も後も、本当にずっと仲がいいんですよね。
父・中村勘三郎さんの早すぎる死
そしてもうひとつ着目して欲しいのが父・中村勘三郎さんの死です。
2012年、早すぎた中村勘三郎さんの死は衝撃的でしたよね…
誰でも父親の死は辛いものですが、歌舞伎界に生きる勘九郎さん・七之助さん兄弟にとって、勘三郎さんの死は「父親の死」とは別の意味があります。
それは、歌舞伎界での「後ろ盾」の消失。
これは一般人の想像以上に、歌舞伎役者として非常に苦しい立場に立たされたことを意味するんです。
いくら名門の血筋でも、後ろ盾なくして「役」につくのは難しいと言われています。
実力云々の前に、舞台に立てるチャンスそのものが、後ろ盾があるのと比べるとどうしても減ってしまうんですね。
歌舞伎界の孤児と言われた三代目市川猿之助(現・猿翁)さんも、父親が早く廃業してしまった中村獅童さんもこれで大いに苦労してきました。
歌舞伎界の孤児の心の支え |
中村勘九郎が背負う重圧
さらに、中村勘九郎さんは「勘九郎」という名前を継いだことで、いずれ「中村勘三郎」という大名跡を継ぐラインに乗っかりました。
その重圧たるや…相当なものでしょう。
将来が約束されてるんだからいいんじゃないの?
いやいやいや…
名前が大きいからこそ、それに見合う実力や人気が無いと余計に惨めだと思いませんか?
舞台に立ってこそ、実力を磨き人気を得られるのに、そのチャンスが減ってしまうとなると、ただでさえ大きな重圧はさらに重くなるでしょう。
しかも名前が大きいだけに、中途半端な端役につくわけにもいかない。
なかなかに厳しい道なのは間違いありません。
中村七之助が歌舞伎界で生き残る方法
その一方で、七之助さんは、今後、どういう名前を継ぐのかすらまだ不透明です。
本来なら、どこか空いている適切な名跡を継がせる等の道筋をつけてくれ、お膳立てや根回しをしてくれるはずの父親はもういません。
となると、自分で歌舞伎界でのポジションを掴みとるしかありません。
そのために実力・人気はもちろん必要でしょうけど、一番確実で早いのは他の人では替えのきかない
「キャラクターの確立」ではないでしょうか。
そして、七之助さんにとっては「女形」がその鍵になると思います。
兄・中村勘九郎さんや市川海老蔵さん、中村獅童さん、市川猿之助さん、松本幸四郎さん…
いわゆる「立役」(男役)がよく映える若手歌舞伎役者は結構多いですよね。
ですが、女形の若手歌舞伎役者と言われると、一般の人にとっては中村七之助さん以外に出てこないのでは?
脅威の70歳超…! |
そういう意味で七之助さんは、ある程度のキャラクターの確立に成功してますよね。
そして女形と言われると、女性以上に「女性らしさ」が表現できないといけません。
でも「女性そのもの」でもないのが難しいところ。
女形は「女性」というものを客観視して、そのエッセンスと思われる部分を取り出して拡大化して見せる「技術」が必要と言われます。
ということは、ですよ?
もしかしたら七之助さん…
真面目〜に女遊びして「女性」を研究をしてるんじゃ…??
よく歌舞伎の世界では「女遊びは芸の肥やし」と言いますが、これって我々一般人からすると、ただの言い訳にしか聞こえませんよね。笑
だって、その割には避妊もせずに隠し子つくったり、相手と揉めたりして、芸の肥やしにするどころか、それで評判を落としてる始末ですもん。
中村七之助さんの場合、言い訳でも口実でもなく…
大真面目に「遊び人」になり「懲りずに」女遊びをすることで女形としての「芸の肥やし」にしようとしてるんじゃ…???
…考えすぎでしょうか?笑
中村七之助の苦労は白髪にあらわれて…?
とはいえ、仮にこの通りであったとしても、これが世間に受け入れられるかどうかは全く別の話なんですよね。
芸のためとはいえ「肥やし」扱いされる相手の女性はイヤでしょうし。笑
そもそもですね…
「大真面目に女遊びして芸に活かすのに必死な女形」なんてイメージ、風流でも粋でもないし、色気もへったくれもなくなって逆にマイナスですよねぇ。笑
「懲りずに女遊びしてる」イメージの方がまだマシじゃないでしょうか。
それにあんまり真面目さを表に出すと、それは兄・中村勘九郎さんとキャラがかぶっちゃうし。
あえて対象的な兄弟に見せてこそ、出てくる「需要」だってあるでしょうからね。
七之助さん…実は結構悩んで考えてるんじゃないのかと心配になります。
中村七之助さんの白髪が同年代の人より多いのも苦労がしのばれる気がして応援したくなるのは私だけでしょうか?笑